2020/12/26 08:48

ボクが泉昌之の名前で(絵は和泉晴紀、ボクは原作)書いた漫画の代表作は
初期は「かっこいいスキヤキ」と「ダンドリくん」、最近では「食の軍師」ということになる。
でも中期というか、1987年「豪快さんだっ!」という漫画と、その10年後、
1997年の「新さん」は、自分にとって転機の作品で忘れられない。
今思うと、31歳と41歳のときなのか。デビューが22歳だから、10年目、20年目なんだな。
確かに節目っぽい。その後、この2作品は文庫本にもなって、今に至る。

「豪快さん」は、初めての週刊連載漫画「ダンドリくん」を描いていた時、
毎週毎週細かいばかばかしい段取り話を作っていて、ちょっとイライラしてきて
「細かいことばっか言ってんじゃねえ!」という豪快な主人公を描きたかったので、
自分的にはすごく楽しかった。

豪快さん、風呂に入ったらぬるくて「こんなの風呂じゃねえ!」って風呂桶ひっくり返すとか、
車で飲みにきて「なぁに、(車は)押して帰るさ!」とか。変なところで豪快な人。

この漫画はのちにバカ映画監督の河崎実さんによって単発ドラマ化されていて、
主演はなんと今は亡き安岡力也さん!最高のはまり役だった。
レンタルビデオ屋に行って、アダルトコーナーが陰の方にあってチップで借りる方式なのを見て
「最近の若者は、エッチなビデオを借りるのに、こんな姑息な真似をしないとダメのか」と嘆き、
カウンターの店員に「センズリに使いたいんだが、いいビデオはあるか?」と10本ぐらいどんと借りるとか。

「新さん」は、泉昌之で、しばらく漫画を書いていなかった時、
マガジンハウスから「コミック アレ!」という月刊漫画誌が創刊され、
そこに月刊連載したもの。久しぶりなんで、書いたことないようなのを描くことにした。
飲み屋にいつも一人でやってくる常連のひとり「新さん」。
そんなに自分から面白いことをいうわけでもないし、目立つ人でもないけど、
お客さんみんなに「新さん、最近来た?」とか、話題にされる、独身の中年男。
彼と、その飲み屋の常連さんたちのどうということない話だけど、
毎月苦しみながらも、なんだかとても楽しみに作った漫画。
通して読むとなんとなく新さんに愛着が湧いた。

両主人公共に、和泉さんの描いた絵も大好きだ。
それで、原作者として、新さんと豪快さんの絵を描いてみた。
キャンバスにアクリル絵の具で模写。
その絵が仕事場に眠っていたので、今回、このサイトで販売することにしました。
こんなの売れるようなものじゃないかもしれないけどね。

それと、もう一枚、旭川に行った時、居酒屋で食べてすっごくおいしかった
「塩うに」の絵も放出します。これはキャンバスボードに描いて、額装したものです。

よかったらHomeから見てみてね。