2021/02/02 23:57

「孤独のグルメ」のマンガの模写絵というのを数年前からやっている。
谷口ジローさんのペン画を、キャンバスにアクリル絵の具で模写し、アレンジする。
模写というのは、18歳の頃、赤瀬川原平さんの学校にいている時、初めてやった。
つげ義春さんの漫画の1ページ模写と、谷岡ヤスジの模写。
赤瀬川先生はボソボソと言った。
「結局、模写っていうのが、一番対象を理解して、技術の習得につながると思うんですよねぇ・・・」
本気でよく見る、ということを人は意外にしないものだ。
そのことを、模写をしてみて、身にしみて感じた。
見てるようで、全然見てない。
これが普段、人間の目と脳がしていることだ。
人間は脳が発達したおかげで、視覚情報を言葉という小さい情報に置き換えて、わかったつもりになる。
その方が時間がかからず、カンタンだからだ。
これは家だ。空だ。前にいるのは鈴木さんだ。これは油の感じがうまそうなラーメンだ。
言葉にして、それ以上、目でしっかりと細部まで見ることをやめてしまう。
絵を見るのも同じだ。
誰のなんのようだ。色合いがあれに似ている。形が面白い。表情がいい。で、ほぼおしまい。
模写をしてみると、好きなものなのに、自分の見てなさかげんがよくわかる。
だから、時々、谷口さんの絵を模写する。
筆で大きく描くから、細密ではないんだけど、でもやっぱり面倒くさい。
人のやり方に一字一句一挙手一投足、従わなければならないのが基本だから。
ペンのように細くかけないから、そこはなんとか工夫しなければならない。
骨が折れると言えば折れる作業だ。
でも、だからこそ、描いてる時間をできるだけ楽しんで描くようにする。
そうすると、谷口さんがボクのキャンバスに、ふっと生き返るような瞬間がある。
あ、谷口さんはこんな気持ちで、ここをこう描いたのか。
そんな時は束の間、とてもうれしい。
気分が模写ということから自由になり、描いた画面に好きな色を塗ったり、雨を降らせたりする。
すぐそばに、谷口さんの困ったような笑顔が見えるような気がする。
谷口さんは、人にやさしく、自分に対して目標の高い人だった。しみじみそう思う。
この絵に、原作者自分の言葉を添えたアートカードにしました。
こういう時期なので、おまけにアマビエカードも入れた。どうぞよろしく。
